森林浴には登山とは一味違う魅力があります。木々や土の匂い、静かに揺れる枝葉、爽やかに吹き抜ける風、そして木漏れ陽。
主に山頂を目指す動的な登山とは異なり、森林浴はそこに滞在し、空間をゆったりと楽しむこと自体を目的とした静的なアクティビティであるといえるでしょう。
ところで、森林浴といえば誰もが知っている言葉ですよね。では「森林セラピー」はどうでしょうか。
こちらも全国的に普及というほどではありませんが、近年徐々に浸透しているフレーズです。
リラックスといった気分的なものだけでなく、森林浴には実際にセラピーの作用があるのです。
今回はそんなセラピー効果を持った、森林浴の魅力についてご紹介します。
森林セラピーと森林セラピー基地
森林セラピーとは、癒しの効果が科学的に立証された森林浴のことです。
特定非営利活動法人・森林セラピーソサエティが定めたもので、現在では全国に63ヶ所の認定地域「森林セラピー基地」があるとされています。
調査と生理・心理実験をクリアし、森林浴に適した地域だからこそ森林セラピー基地と定められているというわけです。
つまり、ただ無造作に周辺の森や雑木林に飛び込むだけでは効果が得られないともいえるでしょう。
森林植物の魅力
森林浴の醍醐味の一つといえるのが、現地に生える植物の発見です。
気になる木々や草花があれば、遠慮せずに足を止めて眺めましょう。贅沢な時間の使い方ですが、これが許されるのも森林浴の特権です。
ポケットサイズの植物図鑑や樹木図鑑を持参していれば、その場で名前を確認することができます。ルーペを携帯していればなお精密な鑑賞が可能でしょう。
ここでオススメしたいのが、現地のビジターセンターなどで販売、あるいは配布している地域限定のパンフレットや小冊子類です。
図鑑だとデータが膨大で特定の情報を引き出すのに苦労しがちですが、このように地域に特化した媒体であれば「この地点で見られる花はこれ」というように、ピンポイントの情報を提供してくれるでしょう。
現地ガイドを活用しよう
動植物を十分に鑑賞するには多少の知識が必要となる場合もあります。
また図鑑やガイドブックを携帯したり、パッと目に飛び込んできたものに対してその都度本を開き、内容を確認する作業は手間で面倒だという考え方もあります。
確かに目当てのデータを探し出すのは一苦労です。特に動物であれば、目撃してもあっという間に通り過ぎてしまうこともしばしばです。予備知識があればなぁ、と悔やむ瞬間ですね。
そんな問題を解消するのが、現地ガイドの存在です。特に森林セラピー基地として認定されたスポットであればビジターセンターなどの施設が整っている可能性が高く、来訪者に対するバックアップ体制も期待できるでしょう。
中でもガイドウォークに同伴してもらえるようであれば、森林を歩きながらの解説を受けることができます。
期間は短いもので1~2時間程度、長くとも半日程度です。一般的には有料ですが、無料の場合もあるようです。
屋内での講義や講習とは異なり実体験が伴うため、得られる知識や経験にも感動が伴うでしょう。またとない財産となるはずです。
まとめ
一口に森林浴といっても、単なる森歩きではもったいないですよね。やはり癒し、セラピーの効果を期待したいものです。
そこで全国に点在する森林セラピー基地に狙いを定め、まとまった時間を作って現地に足を運びましょう。
そして図鑑やガイドブック、あるいは現地ガイドやガイドウォークの助けを借りて森の動植物たちをゆっくり鑑賞しましょう。
登山の場合は山頂に到達するのが主な目的ですが、森林浴の場合は現地の空間や空気を楽しむこと自体が目的です。これこそがセラピー効果を生むのです。何かに駆り立てられる必要はありません。
森林浴は一見地味なアクティビティですが、実はとても贅沢な時間の過ごし方なのです。