登山ウェア類の中でも、今ひとつ必要性がわかりにくいのがボトムスです。
シューズやグローブなどは存在意義が比較的明快で理解しやすいものの、ボトムスとなるとどうもピンとこない人も多いと思います。
丈夫で動きやすい素材というならデニムでいいのではと思ってしまいますよね。
実は登山ボトムスの分野は奥が深いのです。他の部位のように保温や防水、吸汗速乾性といった体調管理を主目的とするよりも、むしろ足上げ・足さばきといった人体工学的な見地に基づいて開発が進んでいるのです。
また一口にボトムスといっても、登山ボトムスの場合はパンツのみを指すわけではなく、タイツやショートパンツなどを組み合わせて使用する様式も含まれます。
ボトムスに何を持ってくるかで歩行時の快適度は大きく左右されるでしょう。
これらの予備知識を踏まえ、主な登山ボトムスの種類をご紹介します。
足上げ性ならロングパンツ
ロングパンツは主に足上げ性を問われます。このため、歩行時の快適さが最も顕著に表れるスタイルだといわれています。
体の動きを計算した立体裁断を採用した素材や、ストレッチ性の高い生地をあしらったものなど様々なロングパンツが流通しています。
これらをチェックするに当たって重要なポイントは、足を高く上げた際につっぱった感じがないかという点です。
つっぱり感が生じる場合は快適に足上げできないということなので、サイズや素材のタイプが合っていない可能性があります。試着の際にはこの点に注意の上チェックしましょう。
また、撥水加工が施されているのもロングパンツの強みです。撥水性の面では他のスタイルよりも明らかに優れており、悪天候時には大いに役立つでしょう。
足さばき重視ならショートパンツを
ショートパンツの魅力といえば、なんといっても軽快な足さばきです。裾がない分、もたついたり振り回されたりといった制限を気にせず思い通りの動作が可能です。
サポートタイツと組み合わせれば足回りの筋肉の動作をスムーズにし、疲労軽減にも役立つでしょう。
またショートパンツはいくら生地が少ないといっても、臓器が集中する胴回りを覆う大事なウェアであることに変わりはありません。時節に応じて体温調節を意識し、気候に適した素材のものを選びましょう。
サポートタイツを有効活用しよう
サポートタイツには、筋肉や関節の動きを滑らかにするタイプと、加圧して血流を促進したり運動効率を上げるタイプの2種類があります。どちらも疲労軽減に役立つアイテムです。
サポートタイツの効能を最大限引き出すにはサイズ選びが重要です。
きつすぎれば不快ですし、ゆるすぎれば効果が得られません。そこで試着する際には、膝の部分を正しく合わせることが肝心です。
その上で、お店のスタッフからフィッティングについてのアドバイスを受けつつ購入しましょう。
なお素材の性質上、サポートタイツには寿命があります。水分や紫外線にも弱いので徐々に劣化してしまいます。
サポートタイツはある種の消耗品と割り切って、生地が薄くなったり、伸びてきたりした場合は買い替えを検討しましょう。
登山用タイツ
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まとめ
以上、登山ボトムスの存在意義と種類についてご紹介してきました。
人体工学云々を持ち出すと随分理屈っぽく聞こえてしまいますが、その意味するところはごく単純です。登山の際に最も激しく動かす体の部位は脚部です。
そして脚部をストレスなく、より快適に動作できるようサポートする役割こそが登山ボトムスの存在意義なのです。
もちろん、他のウェア類と同様に保温や防水の目的もあるのですが、さらにもう一歩進んだところで勝負しているのが登山ボトムスの分野なのです。その意味でも非常に奥深く、面白いウェアだといえるでしょう。