登山・山歩き

登山後の筋肉痛がつらい!歩き方が悪い?筋肉コントロールで予防する9つの方法

登山をした翌日、「筋肉痛で動けない…」という状態に陥ったことはありませんか?

登山は筋肉への負担が大きいため、下山後にしっかりとケアをしておかなければひどい筋肉痛になってしまいます。

そこで今回は、次の日も元気に活動できるように、登山後の筋肉を予防するための方法を9つご紹介します。

なかなか筋肉痛が治らない方に向けたアドバイスも掲載しているので、ぜひ参考にして体への負担が少ない登山を楽しんでください。

登山をすると筋肉痛になる4つの理由とは?

登山をした後の筋肉痛はひどいものですが、なぜあそこまでの筋肉痛が起きるのでしょうか?

その理由は、筋肉を使うことだけでなく、他のスポーツとは異なる負担が体にかかるため。

登山で筋肉痛になる4つの理由について見ていきましょう。

筋肉痛になる理由

下山時の筋肉への負担が大きい

まずは下山時の筋肉への負担が大きいことが理由のひとつです。

登山は登りの方がつらそうに感じられますが、実は筋肉により負担がかかっているのは下りのとき。

とくに太ももの筋肉への負担が大きいので、太ももが際立って痛くなるようなら下山時の負担が原因だと考えられます。

血流が悪くなる

筋肉に大きな負担がかかった後は、筋肉が硬くなって血流が悪くなります。

そして血流が悪い状態が続くと更に筋肉は硬くなり、血流が悪くなるという悪循環に陥ることに。

血流の悪さは筋肉への栄養や酸素の運搬を阻害し、筋肉痛を悪化させる原因となります。

体内の水分が不足する

登山中はたくさんの汗をかく上に、トイレに行きたくなるのを防ぐために、必要最小限の水分摂取で抑えがちになります。

そのため、体内の水分が不足し、筋肉の疲労物質が蓄積しやすい状態です。

疲労物質の蓄積は筋肉機能の低下を招き、通常よりも筋肉痛になりやすい状況をつくり出します。

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アルコール摂取でさらに筋肉痛がひどくなる

山頂に到着したときや下山したとき、達成感からアルコールを飲んでしまうという方も多いのでは?

実は、体内のアルコール分解にはタンパク質が利用されます。

筋肉の修復に使われるはずだったタンパク質がアルコールの分解に利用されれば、筋肉が修復されず筋肉痛がひどくなってしまうことは明白です。

また、アルコールは利尿作用によって体内の水分量をさらに減らします。

下山後に実践したい!筋肉痛を予防するための9つの方法

それでは、翌日の筋肉痛悪化を抑えるために、なにかできることはないのでしょうか?

こちらでは、下山後に実践できる筋肉痛の予防方法を9つご紹介していきます。

筋肉痛の予防方法

アイシングで筋肉を冷やす

下山したら一番に行いたいことは、アイシングで使った筋肉を冷やすことです。

激しく使われた筋肉は繊維が損傷していて、炎症を起こしている状態。

冷やしてあげることで炎症を鎮めることができ、筋肉痛の軽減に効果的です。

筋膜リリースで筋肉を伸ばす

筋膜リリースとは、筋肉と筋膜の癒着を解消し、筋肉を正常な状態に戻すための方法。

筋膜というのは全身の筋肉を覆っている膜のことです。

筋肉が使われると筋膜は硬くなって筋肉に癒着し、筋肉が正常に動けなくなることも。

筋膜リリースで癒着を解消すれば、筋肉を正常に動かせるようになり、ストレッチなどの効果が現れやすくなります。

サポートタイツで血流を改善

登山による筋肉痛の大きな原因である血流の悪化。

それを解消するために、下山したらすぐにサポートタイツを着用し、血流の改善を試みましょう。

ふくらはぎの筋肉が疲れていると、脚の血液を心臓まで押し戻せなくなります。

筋肉痛軽減のためには、サポートタイツの力を加えて血液を押し戻してあげるようにしてください。

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場所別のストレッチで筋肉の柔軟性を高める

硬くなった筋肉をほぐすためには、ゆっくりとストレッチをして筋肉を伸ばしてあげることが効果的。

筋肉痛が気になる部位別にストレッチ法をご紹介するので、入浴をし、眠る前に実践してみてください。

登山前後に実践したいストレッチ

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ふくらはぎのストレッチ

ふくらはぎは登山で酷使される部位。

どこでも簡単にできるストレッチ法をご紹介するので、登山前や下山時だけでなく、休憩中に行うこともおすすめです。

  1. 左足を1歩前に出す
  2. 右足のかかとをしっかりと床につける
  3. そのままゆっくりと前足に体重を移動させる
  4. 重心を戻して右足のつま先を外側に向ける
  5. ゆっくりと前足に体重を移動させる
  6. 重心を戻して右足のつま先を内側に向ける
  7. ゆっくりと前足に体重を移動させる

足を替えて左足も同じように行いましょう。

太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)のストレッチ

山を下りるときに最もよく使われるのが太ももの前側にある筋肉。

転倒しないよう足元を維持するときに使われるため、下半身の中で最も大きな負担を負っている筋肉とも言えます。

  1. 床に座り右脚を伸ばし、左足はおしりにつくように折り曲げる
  2. 手を後方の床につく
  3. そのまま上半身を後ろにゆっくりと倒す
  4. 筋肉を伸ばした状態を40秒間キープ
  5. 上半身を起こして反対側も同様に行う

おしりのストレッチ

おしりの筋肉は持久力に長けた「遅筋」で構成されており、登山時に使用すると疲れにくくなるというメリットがあります。

しかし、使いすぎると強い筋肉痛に見舞われることも少なくないため、しっかりとストレッチで伸ばしておきましょう。

  1. 床に座り手を後方の床につく
  2. 右膝を立てて左足を右の太ももに乗せるように組む
  3. そのまま右膝に近づけるように上半身を寄せる
  4. 20~30秒間キープ
  5. 上半身を元に戻して反対側も同様に行う

糖質・タンパク質豊富な食事でエネルギー回復

傷ついた筋肉を修復するためには、栄養豊富な食事が必要です。

特に下山後の筋肉を修復させるためには、糖質とタンパク質が豊富な食事を摂取するようにしましょう。

登山のように激しい運動は、筋肉を分解してエネルギーに代えてしまうこともありますが、素早く糖質を摂取すれば体内でエネルギーとなって筋肉の分解を抑制してくれます。

筋肉の原料であるタンパク質は、筋肉の修復と回復をスムーズにしてくれる栄養素です。

栄養素の代謝が正常に行われるように、ミネラルやビタミンも摂るようにしてください。

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入浴で血流改善&疲労回復

下山後の血流改善と疲労回復に効果的なことは「入浴」です。

体を温めれば血液の流れが改善され、血流が改善されれば栄養や酸素が全身に行き渡りやすくなり、傷ついた筋肉の修復を進めることができます。

また、入浴中に身体にかかる水圧は、ふくらはぎの血液を心臓に押し戻すことをサポートしてくれる働きも。

水圧によって身体をゆるく締め付けることで、サポートタイツを履いたときのような効果が得られます。

絶景を眺めながら浸かる登山後の温泉もいいかもしれません。

温泉で回復

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水分を補給して血流&むくみ改善

水分不足も筋肉痛の原因のひとつであるため、水分を補給してあげることも対策として必要不可欠。

水分を摂取することで血流が良くなり、入浴をしたときと同様、筋肉の修復を進めることを促してくれます。

水を飲んでも良いですが、糖質や栄養素が含まれているスポーツドリンクもおすすめです。

アルコールは体のケアをしてから

下山後の冷たいビールを楽しみにしている方もいるでしょうが、アルコールの摂取は体のケアを終えてからにしましょう。

特に大切なことは水分補給と食事を終えた後にすることです。

アルコールには利尿作用があり、水分補給前に飲むと更に体内の水分が不足してしまう結果に。

そしてアルコール分解にタンパク質が使われても問題がないように、食事から摂取したタンパク質が吸収された後に嗜むようにしてください。

十分な睡眠をとる

睡眠中に分泌される「成長ホルモン」によって筋肉は修復されるもの。

登山をした日の睡眠時間が短かったり、眠りが浅かったりすると成長ホルモンの分泌が不十分になり、筋肉の修復が妨げられてしまいます。

成長ホルモンが分泌されるのは、ノンレム睡眠と呼ばれる深い眠りのとき。

正常に筋肉を修復させ、翌日の筋肉痛を軽減させるためには、十分な睡眠時間と深い眠りが必要です。集中して眠れる環境を作りましょう。

登山の筋肉痛がなかなか治らないなら

筋肉痛を軽減させるための9つの方法をご紹介してきましたが、これらを実践してもなかなか筋肉痛が治らないという方もいるでしょう。

そこで、登山後の筋肉痛を軽減させるための方法を、より深く掘り下げて解説していきます。

小見出し

日頃の運動習慣で筋肉をつける

筋肉痛を軽くするためには、より強い筋肉をつけ登山体力の向上が必要です。

毎日の運動習慣によって意識的に筋肉をつけていきましょう。特に「階段を一段とばしで上る・下りる」という方法がおすすめ。

「登山後は筋肉がついて太る」ということを気にする女性もいますが、やはり登山を行う上で筋肉は欠かせません。

登山のときの筋肉の動きは、階段を一段とばしで上ったときと近い動きです。

駅や会社、買い物先などではエスカレーターではなく階段を使い、登山で筋肉痛になる筋肉はどこかを意識しながら、一段とばしで上り下りすると効率的に鍛えられます。

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山に登る前には必ず準備運動をする

筋肉が柔軟になっていない状態で登山を始めると、どうしても筋肉痛が起こりやすくなります。

そのため、山に登る前には準備運動をし、筋肉を柔軟にすることが大切。

特に、太もも、ふくらはぎ、おしりの3ヵ所の筋肉が酷使されることになるので、下半身は重点的に行うようにしてください。

下山後に実践したいストレッチとして、先にご紹介したものを行っても構いません。

難易度の低い山から始める

「難易度の低い山から登る」という方法は、「繰り返し効果」を狙った方法です。

繰り返し効果とは、伸長性運動によって傷ついた筋肉は、伸張性収縮を繰り返すことによって損傷が少なくなるという現象のこと。

登山シーズンの最初にいきなり難易度の高い山に登ると筋肉痛になりやすいですが、徐々に難易度を上げていけば筋肉痛はそれほどひどくなりません。

筋肉への大きな損傷を防ぐためには、低山の登山を最初に行い、少しずつ運動強度を高くしていきましょう。

繰り返し効果によって、動けなくなるほどの筋肉痛を回避できます。

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登山前にハードなトレーニングをしておく

登山前のハードなトレーニングは、「残存効果」を利用するためです。

残存効果とは、すでに筋肉痛が引き起こされた後の一定期間内は、筋線維が損傷しにくくなる現象のこと。

つまり、登山前に筋肉痛になるような筋トレをしておくことで、登山時に筋肉が壊れにくくなって筋肉痛が軽減されるということです。

もちろん、ハードなトレーニングを行うことは、登山に必要な筋肉を強化するという意味でも効果的。

山に登る予定の1週間前まで、3週間程度トレーニングを行えば効果が得られます。

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バテないための呼吸法を覚える

登山でバテてしまうと体幹が不安定になり、本来の筋力を発揮しにくくなります。

その結果、筋肉痛が引き起こされる可能性もあるため、バテないための呼吸法を実践するようにしましょう。

登山のときの正しい呼吸法は、まず腹筋に力を入れるようにして息を吐くこと。

傾斜が緩やかな山であれば小さめに息を吐き、急勾配のところでは大きく吐くようにしてください。

いずれも、呼吸の長さは短いほうが腹筋に力を入れやすくなります。

サポートタイツやトレッキングポールを活用する

サポートタイツは筋肉や関節の動き、ふくらはぎの血流をサポートし、トレッキングポールは脚への負担を軽減させるためのアイテム。

どちらも登山アイテムとして定番ですが、上手に活用することで、大幅に筋肉が楽になるはずです。

特に下山時にトレッキングポールを使用すると、脚にかかる負担を腕へと分散させることができるため、筋肉痛軽減には非常に効果的。

もし、登山後の筋肉痛に悩んでいてこれらのアイテムを使用していない方がいれば、ぜひ次の登山から取り入れてみてください。

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まとめ

筋肉を酷使する運動である登山。翌日の筋肉痛はある程度避けられないものではありますが、動けなくなるほどの筋肉痛が何日間も続けば、登山への楽しみも半減してしまいます。

今回ご紹介したように、筋肉の炎症による発熱を鎮めることからはじめ、筋疲労の回復に効果的な食べ物を積極的に摂取するなど、つらい痛みを少しでも軽減できるようにしていきましょう。

もちろん、筋肉痛の治し方として、湿布や薬などを使うことも大切です。

しかしその前に、筋肉痛になる原因をなるべく排除し、痛みを回避できるように対策を行うことがさらに重要だと言えます。

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